2025.05.09
令和6年4月1日以降に開始した事業年度の申告より、賃上げ促進税制の改正が行われました。事業年度が1年の法人については、今月期限を迎える申告からの適用となります。
以前にもお伝えした内容ではありますが、注意喚起の意味も込めて皆様に改正内容について再度お伝えいたします。
賃上げ促進税制とは、役員や役員の親族以外に対する給与等の支給額を一定以上引き上げた場合に法人税の税額控除ができる制度です。中小企業と大企業とでは制度の中身が異なりますが、中小企業向け賃上げ促進税制は以下のような改正が行われました。
① 控除限度超過額は5年間の繰越しができることとする。繰越税額控除制度は、繰越税額控除をする事業年度において雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超える場合に限り、適用できることとする。
② 教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置について、教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が5%以上であり、かつ、教育訓練費の額が雇用者給与等支給額の0.05%以上である場合に税額控除率に10%を加算する措置とする。
③ 当期がプラチナくるみん認定若しくはプラチナえるぼし認定を受けている事業年度又はくるみん認定若しくはえるぼし認定(2段階目以上)を受けた事業年度である場合に税額控除率に5%を加算する措置を加える。
さて、賃上げ促進税制は現行では給与の支給額が前期と比較して1.5%以上増加した場合に増加額の15%、2.5%以上増加した場合には増加額の30%の税額控除を受けることができます。
ただし、法人税額の20%を限度とします。この点は今回の改正でも変わりありません。
ただ、改正前はたとえ賃上げを行っても、赤字で法人税が発生しない場合等には税額控除を受けることができませんでした。
しかし、上記の①の見直しにより、賃上げを行ったにもかかわらず、法人税額×20%を超えたために税額控除ができなかった部分については最大で5年間の繰越ができ、翌期以降の税額控除が受けられるようになります。
また、教育訓練費が増加した場合の税額控除率の上乗せが、現在は教育訓練費が前期と比較して10%以上増加していれば受けられたのが、上記②の見直しで教育訓練費の増加率が5%以上かつ教育訓練費の額が当期の給与の支給額の0.05%以上という要件に変更されることとなりました。
最後に、上記③の見直しで「くるみん認定」「えるぼし認定」という子育て支援の取り組みを行っている企業として、厚生労働大臣からの認定を受けた場合に税額控除率を上乗せする措置が新設されました。
これらの改正は令和6年4月1日以後に開始した事業年度から適用されます。
今回の内容は以上です。賃上げにされている会社様におかれましては、ぜひ賃上げ促進税制の適用受けていただければと思います。