2025.06.19
個人事業主が生計を一にする親族に給与を支給した場合、原則としてその給与は税務申告の際に必要経費として認められませんが、一定の要件を満たせば必要経費として認められます。これを「専従者給与」といいます。
必要経費にできる金額は白色申告か青色申告かによって変わります。
(1) 白色申告の場合
生計を一にしている親族に対する給与は必要経費として認められません。その代わり、専従者がいる場合に一定額まで「事業専従者控除」が認められています。
事業専従者控除による控除額は、実際の給与の支給額によらず次の①②のうち、「低い方」の金額となります。
①事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
②この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額
事業専従者控除を受ける要件は次の①②③「すべて」に該当する事業専従者がいることです。
①白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
②その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
③その年を通じて6か月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること
(2) 青色申告の場合
青色申告の場合、実際に支払った給与の額が必要経費として認められます。
次の①~④の要件を「すべて」満たす必要があります。
①青色事業専従者に支払った給与であること。
青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます。
イ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
ハ その年を通じて6か月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
②「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること
③届出書に記載されている方法により支払われ、かつ、その記載されている金額の範囲内で支払われたものであること
④青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること
なお、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出期限は専従者給与を必要経費にしようとしている年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者となった人がいる場合には、事業を開始した日や専従者となった日から2か月以内)までです。
一度提出すれば、翌年もう一度提出する必要はありません。